京都学会出張



1月18日(土)〜19日(日)、国立京都国際会議場で催された第37回日本眼科手術学会学術総会に参加してきました。
メスを置いてからもう随分と経ちますが、自分で出来なくても昨今どんな手術をしているのかを知りたかったし、浦島太郎にはなりたくなかったので参加した次第です。
白内障手術の進歩には、ホント目を見張るものがあります。何と白内障手術にフェントセカンドレーザー(従来LASIKに使用)が導入されているとは(驚)。レーザー白内障手術により①角膜(黒目)の切開、②前嚢(水晶体の前の膜)切開、③核(水晶体の芯の部分)分割を行います。ビデオ映像に目は釘付け。「凄い!!」
私が研修医の頃は、水晶体全摘術がまだ行われていましたが、そこから水晶体嚢外摘出術、眼内レンズの挿入まであっと言う間。超音波水晶体乳化吸引術の登場で劇的に白内障の手術方法が進化を遂げました。眼内レンズの素材も、プラスチックのような固いPMMA素材から柔らかいシリコン素材に改良されたので、折りたためるようになったのです。加えて眼内レンズは単焦点眼内レンズから近くも良く見える多焦点眼内レンズまで選べるような時代へ突入。レーザー白内障手術は、さらに進化し続けます。
高橋政代先生の「加齢黄斑変性に対するiPS細胞由来細胞移植臨床研究」は、大学院時代に私も視神経の培養実験をしていたので、興味深く拝聴致しました。
先生の講演は、堅苦しい内容ではなく、後輩へのメッセージが良かった。①疑うことと信じること、②ダブルメジャー(境界領域)、③パスが来るところに走れ(待っているのではなく、前を見据えて動く)の話は面白かったです。また、ノーベル賞受賞者には、凄いひらめきがある方と誰にでも思い付くようなことをコツコツと地道にされる方がおられるそうです。山中伸也先生は、後者だそうでそのエピソードを披露されました。
先生が引用されておられた九州大学・田嶋誠一教授のコメントも奥深いです。
「健全なあきらめ」
変わるものを変えようとする勇気 
変わらないものを受け入れる寛容さ 
そしてその二つを取り違えない叡智が必要である
なるほど。。。
糖尿病網膜症に対する硝子体手術のビデオ映像も凄かったです。増殖膜を硝子体剪刃で処理する際の手際の良さに脱帽しっぱなし。チュルチュル〜と膜が分割され、吸引されていく様子が大変よく解りました。
屈折矯正手術のアップデートなお話も満載。最近では、角膜フラップ作成もフェムトセカンドレーザーで行うLASIKが登場し、その有効性が認知されてきているとのこと。当初は、ケラトームという電動バリカンみたいなものでした。有水晶体眼内レンズも登場ですし。
また、老眼治療としてアキュフォーカスリングを角膜実質内に挿入します。そうすると、ピンホール効果によって焦点深度が深くなって近くが見やすくなります。
いっぱいの刺激と学びを頂いた2日間でした。
PS.翌朝、目が覚めてびっくり。一面、雪景色。国際会議場周辺も真っ白!!